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次世代のグローバル・ビジネス・サービス

グローバル・ビジネス・サービス(GBS)は進化を遂げています。新型コロナウイルスは、企業の事業継続計画(BCP)の喚起、バーチャルな働き方の採用、イノベーションの新境地の開拓を余儀なくし、従来のGBSへと戻ることはおそらくないでしょう。

将来GBSは、データエンゲージメント・プラットフォームやその他SoE(Systems of Engagement)を活用して、より密に連携したコラボレーションやリモートワークを推進するでしょう。また、予測的かつ処方的なアナリティクスや、人工知能(AI)、機械学習(ML)、ブロックチェーンなどのデジタルテクノロジーが、企業の利害関係者コミュニティ(顧客、サプライヤー、外部関係者、経営陣、従業員を含む)にインサイトをもたらすことで、優れたユーザーエクスペリエンスを推進し、組織全体に継続学習の機会を広げていきます。

従業員は、GBSを活用して高度な財務計画、分析、シナリオモデリングなどの新たな分野へと進出することができます。そしてそれは、優秀な人材を魅了し育成していくことにつながります。

次世代のGBS

GBSは何を意味するのか?

グローバルビジネスサービスは、ビジネス成果を促進する協調的かつ効率的な組織です。GBSとは、

  • エンド・ツー・エンドのプロセスを実行する上での不可欠な要素であり、ユーザーエクスペリエンスを最適化します。
  • バーチャルで働く人々や事業継続性をサポートし、デジタルを活用した働き方の実現に焦点を当てています。
  • 経営幹部のリーダーシップのもと、サービスデリバリーを使命とする企業のオペレーティングユニットとしてみなされています。
  • ビジネスのインサイトを届けるビジネスパートナーとしての役割を担っています。
  • 企業全体にグローバルかつ大規模に展開され、センター・オブ・エクセレンスやシェアードサービスセンター、ワークセンター、コンピテンスセンターなどの1つあるいは多数のデリバリー拠点や事業体を利用しています。
  • 環境、社会、ガバナンスのコンプライアンスに関する戦略的パートナーとして、今後数年間のビジネス機能を担っています。

なぜ企業はグローバルビジネスサービスを運営するのか?

GBSの重要性と役割は、近年拡大しています。企業の目的はさまざまですが、常に共通しているのは、コスト構造の改善、吸収合併による規模の拡大、新しいビジネスモデルの導入の促進、バーチャルでの働き方も含めた労働者の能力に対する可能性の実現に焦点を当てているということです。企業は、明確な目的を持ってグローバルビジネスサービスを開発することに集中しています。その目的とは、価値を創造し、品質を提供することで企業戦略をサポートすることです。もちろん、金額に見合った価値やコスト管理も重要な成果ではありますが、GBSは従来の視野の狭いレンズでは捉えきれないものになっています。 これからのGBSは次の7つの特性により具体的に示されます(図1)。

グローバルビジネスサービスの成熟度を次の段階へと引き上げるドライバーは何か?

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1. 機能の境界線ではなく、 エクスペリエンスが中心

GBS組織の成功の中心にあるのは、顧客と顧客が受けるサービスです。カスタマージャーニーを継続的な改善や主要な業績成果などの中核的なGBS活動の中に組み込むことで、シェアードサービスの設計、構築、運用というライフサイクルの中で一貫して顧客に焦点を当て続けることが必要とされています。

機能間の境界線は、生産性の向上やメリット最大化に向けた数々の取り組みを長らく妨げていました。量的質的結果を出すために、従来のモデルを切り替え、エクスペリエンス、あるいはユーザージャーニーに沿って連携することで、パフォーマンスを拡張し、最適化することができます。

たとえば、グローバルなライフサイエンス企業は、その焦点をコスト削減から顧客満足度向上、とりわけ製品の受注と配送へと切り替えました。また、別のグローバル企業は、シェアードサービスセンターの目的を「ビジネスをやりやすくする」ことに再設定しました。

2. デジタル化の実現

私たちの調査では、企業がすでに標準化され安定したプロセスを所有しているのであれば、インテリジェントオートメーションは効果と効率に変革をもたらすことができることを示しています。ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)はルーチンの反復的で、ルールベースの行動を自動化することができます。

自動化の過程においてRPAのその先にあるのがインテリジェント・オートメーションで、これには機械学習やダイナミックワークフローが含まれます。インテリジェント・オートメーションは自動化しながら学習、適応することで、飛躍的な価値をもたらします。

将来的に成功するGBS 組織は、パートナー企業のエコシステムを開発し、常に最新の開発に先んじていることを確実にし、自動化に必要な幅広いツールを有しているでしょう。

3. アナリティクスとインサイトによる結合

明日のGBSリーダーは、典型的なオペレーティング業務を通じて流れ込む莫大な量のデータを継続的に使用するために、GBS内に専用のアナリティクスハブを作成し、GBSに持続可能な拡張インテリジェンスを生み出します。

プロセスを実行する縦割り機能組織を連携することで、GBSは、それぞれ独自に動くエコシステムの特定ニーズにイノベーションを起こし続けることや、アジャイルアナリティクス開発プロセスを展開することで、市場投入までの時間を短縮することができます。また、予測的かつ処方的アナリティクス、AI、コグニティブコンピューティングを活用して 全構造化されたデータを解釈し、より良い迅速な意思決定を促進します。

4. 進化する事業戦略のアジャイルなサポート

柔軟なプラグ・アンド・プレイ型のGBSモデルは、ビジネスの有機的な成長にも、買収による成長にも役立ちます。独立した事業の場合は完全統合、事業を切り出す場合は一部統合を選択する必要があります。

GBSモデルは、範囲も規模もより価値の高い分野、たとえば財務計画や分析、コンプライアンスなどに広がり、財務、営業、IT、人事などにわたって統合されたオペレーションへと継続的に拡張し続けます。

たとえば、世界有数の最大手金融機関は、コンプライアンスにかかる労力を合理化し、全体的なオペレーションをよりスマートにするためにジェンパクトを活用しました。この銀行が今日までに創出したビジネスインパクトは、5億ドル以上に及んでいます。また、電子資金振替規制に違反する可能性の排除を行いましたが、さらに重要なことは、より迅速で効率的な新規登録と資金支出のプロセスを作り上げたことでした。この大規模なプロセス再設計と自動化の取り組みは、非常に優れたエクスペリエンスを提供し、顧客を満足させています。

5. 分散する従業員を大規模に再教育

GBSはアジャイルな人材確保への期待を支える主導的な役割を果たしています。

パンデミックの影響で、GBSはデジタルトランスフォーメーションを加速させ、企業は必要な時に必要な場所で必要な人材にアクセスできるようになりました。ハイブリッド・ワーキング戦略を策定し、国を超えてBCPを強化することで、複数の拠点にまたがるビジネスの拡大が可能になりました。将来的には、GBSは、従業員が最も効果的に働くために必要なテクノロジーやインサイトへのアクセスを実現し、より柔軟なモデルになります。これは人材にとって、リモートワークやハイブリッド環境で働く能力は、もはや場所が決定的な要因ではないことを意味しています。

GBS組織内で人材を育成、開発することは、多くの場合、ビジネスケースにおける定量化できないメリットのひとつです。GBS内の高付加価値、多機能サービスは、キャリアパスと能力開発の機会を提供し、人材のモチベーションとトレーニングを維持します。

たとえば、あるグローバルな大手小売企業は、意欲的な幹部にGBSセンターへの異動を繰り返し行うことで、新たなスキルを身につけさせ、それを市場での役割に活かすということをしています。このような取り組みは、GBSセンターの成長と開発を促進し、ビジネスとの真のパートナーシップを構築します。さらに多くの自動化や高度アナリティクスの導入で、これらの分野での変化や学習に必要なスキルが優先されることになるでしょう。

6. データと標準の管理者

GBSは、組織の幅広いリソースと情報、プロセスセントリック、そして企業が運用するサービス指標の中枢となります。たとえば、データガバナンスには、より厳しい管理と監視が必要ですが、それには他の機能での経験が求められます。企業は自社のデータの品質、完全性、複雑さを増す規制条件によるバイアスの可能性、高度なデータセキュリティとプライバシーの必要性、高度アナリティクスへのさらなる要求などをより注意深く監視することに迫られます。

目的から実際に結果を出すために、GBSがどう運用するかを定義するサービスのフレームワークがより一層重要になります。これは明確なKPI(重要業績評価指標)やSLA(サービス水準合意書)を設定することを含み、また、定義された明確なサービスカタログ、エスカレーションパス、効果的なガバナンスを意味します。

7. 目的に導かれ、イノベーションを焦点に

GBS はデジタルテクノロジーに対するイノベーションサンドボックス(実験場)となり得ます。全社的なデータとインサイトがそこに集結しているのであればなおさらです。GBSの目的がトランザクションのエンジンをはるかに超えるものであるとしたら、調達から支払いまで、案件成立から売上回収まで、などのサービスはエンド・ツー・エンドで実行されることになり、その次にはGBS が運転資金に影響を与え、収益損失を減らし、調達におけるコスト削減が可能になるでしょう。GBSの目的をビジネスの目的と一致させることで、高いパフォーマンスを発揮する優れた機能として、真の戦略的ビジネスパートナーとなり得ます。

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カスタマーエクスペリエンスを中心に連携

顧客の期待以上のものを提供することは、もはや机上の空論になっています。今、組織はGBSがより深いもの、つまりエクスペリエンスを提供できることを認識しつつあります。

カスタマー・エクスペリエンスは、成長をもたらし、インパクトを生み出す競争上の差別化要因であり、GBSのデリバリーモデルのあり方に大きな影響を与えます。期待される成果は顧客のニーズと一致すること。これがGBSの重要な役割となります。組織は規律あるサービスマネジメント・アプローチに従い、アジャイルな手法を用いてコミットメントを実現し、継続的な改善をコア・コンピテンシーとして維持します。

GBSセンターは企業にとって戦略的な役割を果たすことができます。顧客を第一に考えることにより、GBSのパフォーマンスは向上し、シェアードサービスの未来に力を与えることができます。また、価値の高いサービスの提供を拡大し、デジタルとアナリティクスによる改善を推進することで、社内のステークホルダーのエクスペリエンスを向上させ、コスト削減以上の利益をもたらします。

GBS組織がこれら7つの特性を採用すれば、成長機会を活用し、もはや場所に制約されない将来のビジネスモデルを活用することができるのです。

本稿はジェンパクトData-Tech-AIサービス シニアパートナー James Pringが執筆しました。

ジェンパクトは企業のGBSビジョンの実現をどのように支援できるのか

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